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テックスエンジレポート

TEXENG Report2023 No.006(TEX技術報告・商品紹介)

発刊のご挨拶

弊社は1946年の創立以来、日本製鉄グループのパートナー企業として、また機械・電気計装・建設等の専門技術を持つエンジニアリング会社として社会の発展に寄与して参りました。製鉄で培った技術・技能を更に進化させるとともに、機械・電気計装・建設の各専門技術を組み合わせ、より効率的な「複合エンジ・ソリューション」の提供を行うことで製鉄業に限らないより広い幅広い分野の方々に貢献できる総合エンジニアリング企業を目指しております。

今回のレポートでは弊社内のDX技術を活用した設備保全・設備管理や設計施工の効率化、ロボット遠隔操作技術の開発、スチールハウスによるZEBの提案等を中心に実践的で総幅広い分野のSDGs、CN(カーボンニュートラル)に貢献できる技術を紹介させていただいています。是非、ご高覧ください。今後とも、日鉄テックスエンジ株式会社に一層のご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

代表取締役社長 小野山 修平

技術レポート『TEXENG Report』 No.006発刊に際して

今回のテックスエンジレポート発刊に際しまして、弊社の取り組みを2つ反映いたしました。1つ目は、「人財育成(ひとづくり)」です。弊社の技術も商品も、お客様に満足して頂ける安心・安全・品質・付加価値があって初めて御使用になって頂けます。今号では、“様々なお客様の問題解決に繋がる技術・商品の開発と御提案を、実行に移せる人財の育成”に着目しております。2つ目は、「ESG/SDGsへの取り組み」です。弊社は、持続可能な社会・脱炭素を目指す社会に貢献できる企業を目指しています。実際の取り組みに当たっては、各レポート冒頭のタイトル脇にSDGsのアイコンを添付して、更なる貢献を目指す糧としております。日々チャレンジを続ける弊社に、皆様の御指導・御鞭撻を賜りたくよろしくお願い申し上げます。

取締役(前 取締役常務執行役員/技術総括部長/ 
ESG・SDGs対応推進委員会委員長)  田中 誠

技術報告

機械事業本部

ICTツール活用による先進的な保全方式と他社操業設備外販への取り組み

日本製鉄株式会社殿名古屋製鉄所からの依頼を受け、新設となる原料処理設備内の主要設備を対象に 2018 年 10 月より設備管理体制の構築と計画保全を進めてきた。その中で、他社操業設備を含めた計画保全外販 の足掛かりとすべく、従来の紙ベースやエクセルベースを主体とした設備管理ではなく、ICT ツールを活用 した先進的な保全方式への試行も行った。立上げ当初は設備トラブルが頻発していたが、ICT ツールを駆使 した設備の状態把握や故障分析で洗い出した弱点設備について、客先との設備集会等で改良保全の内容を共有化しながら提案型の業務を行った。これにより、徐々にトラブルの未然防止へと繋がり、生産稼動率向上に寄与することが出来た。これらの取組により先進的な保全方式の基礎が確立でき、また客先からの信頼を 得ることが出来た。この手法は当該設備以外の他社操業設備にも展開できるものであり、保全外販への第1歩となった。

製鉄所向け原料積付設備 スタッカー更新における計画から完成について

一般に製鉄所においては、製銑原料となる石炭・鉄鉱石等は船舶により運搬され、製鉄所の岸壁でアンローダによって荷揚げされる。その後、ベルトコンベヤにより所内の各原料ヤードに搬送し、スタッカーによって山積みされている。この度、日本製鉄株式会社殿関西製鉄所和歌山地区において、スタッカーの老朽に伴 う更新を、設計~製作~据付~試運転まで機電複合で当社が請け負い、3基続けて立上まで完了した。(現在、 4基目の設計中)

予備品の共通化や現地工事工程の調整等、多くの顧客要望を実現した事で高い評価を得る事が出来ており、 次号機以降の納入も期待されている。 本稿では、スタッカー更新における計画から立上までにおける一連の業務を、機械・電気、エンジ・工事の総合技術として完成させた概要を報告する。


電計事業本部

鉄道信号制御設備更新への取り組み

多くの製鉄所の製銑-製鋼間の工程間輸送には鉄道が利用されており、それは輸送対象(溶銑)の特殊さに適合する特別に重要な設備である。日本製鉄株式会社殿九州製鉄所(大分地区)の鉄道信号制御設備更新において、①汎用機によるシステム更新での安価化、② DX による将来の最適化・自動化におけるプラットフォームの構築、を目的に全面的な既設解析とソフト自製、更新に必要な提案を行い、周到な準備と確実な工事の実施により垂直立上げを達成した。本稿ではその取り組みについて報告する。


建設事業部

スチールハウスの性能・強みを活かしたSH-ZEB提案

スチールハウスは、木造2×4 工法(枠組壁工法)の枠材を板厚2.3mm 未満の亜鉛メッキ鋼板に冷延成形した形鋼に置き換えた建築物である。当社初の取り組みで、2006 年の日本製鉄株式会社殿名古屋製鉄所高横須賀社宅におけるNSスーパーフレーム工法®(NSSF®工法)であり、2012 年度釜石において東日本大震災の復興住宅、2014 年度にはスチールハウスでは初の4 階建となる大分明野社宅を建設している。近年では事務所用途への展開を図り、大スパン化・内外装意匠性向上などの工法に関する技術向上及び床遮音・振動・温熱性能の評価を行っている。

本稿では、日本政府が公約する「2050 年カーボンニュートラルの実現」に向けて、スチースハウスの強みである、「外貼り断熱・通気方式」による高断熱・高気密性能による、建物のエネルギー消費量の低減を活かしたZEB(Net Zero Energy Building)化の取り組みを紹介する。


ロボティクス事業部

パルスレーザ適用技術の開発

ロボティクス事業部は、自動化案件を事業の柱にして、お客様に提案を行っているが、プロセス制御技術分野に強みがある事が特徴であり、更なる強化に取り組んでいる。その一例がパルスレーザの適用開発である。パルスレーザとは、短い時間間隔で、照射を繰り返すレーザのことである。用途としては、微細加工・マーキングが得意な分野であり、製品への印字、刻印、レーザクリーニング、除去加工などに用いられる。これらは、照射領域の小さなワークであり、我々はもつと大きなワークヘの適用開発に取り組んでいる。

本稿は、パルスレーザの特徴、適用事例、自動化システムに対する考え方について紹介したものである。現在製品化への途上であるが興味を持っていただいているお客様もあり、ご期待に応えたい。これを機により多くの方に知って頂ければ幸甚である。


生産事業部

RSB設備改善による安定操業に向けた取り組み

当社と関係の深い日本製鉄株式会社殿の生産性向上対策が進み、更なるライン稼働率向上と生産性向上が重要視されるなかで、当社ではロール、チョック(軸受け)、ガイド、スタンドの整備を請け負う職場として主管工場と共に問題解決に取り組んできた。本件では、長期間の運用を継続する室蘭製鉄所棒鋼圧延ラインの最終圧延工程で使用される RSB 設備を対象にソフト対策及びハード対策を実施し、設備の健全化を図った。その結果、摩耗管理による品質向上に加えて新規発想による部品作り替えの効果によりトラブル防止を達成した。

商品紹介

建設事業部

鹿島アントラーズFC殿アカデミーグラウンド築造工事

鹿島アントラーズ FC 殿のアカデミー専用練習グランド築造工事について紹介する。当社では施工実績が少ないスポーツ施設の築造であったが、建設 ICT 技術の活用による施工性の改善、施工精度の向上を実施した。また、選手目線で捉えた安全性向上に向けたコーナーフラッグ金物の改善や高機能的な排水システムなど様々な提案を報告する。
本グラウンドでのプレーが選手のパフォーマンスを最大限に向上させ、それが鹿島アントラーズ FC 殿の更なる活躍へとつながることを信じている。


パーティクルボード事業部

“日鉄テックスエンジファインボード”のご紹介

当社は機械・電気・建設等の分野に専門技術を持つ総合エンジニアリング会社であり、日本製鉄グループの一員として役割を担っている。パーティクルボードを製造する当事業部は、社内ではやや異端な存在である。しかしその立場を活かして製造や整備の実験場として機能することで、業務のレベルアップを果たしている。当工場に事業 ( 本 ) 部が新機軸の技術を持ち込み実験・完成する一方、当工場には充実した製造設備・技術が蓄積する。それが高品質の生産を安定して継続できる基盤となっている。SDGs への注目が高まる中であるが、パーティクルボードは環境保全に相応しい存在である。この状況を背景に、お客様に満足いただける製品として末永くお届けしたい。

業務への取り組みの紹介

電計事業本部

保全DX(デジタルトランス・フォーメーション)の取り組み紹介

デジタル・トランスフォーメーション(DX:Digital transformation)はIT 技術の著しい進展に伴い注目を集め、革新的なイノベーションが期待されている。様々な分野においてデジタル化と見える化が進み、多数のAI の活用事例などが紹介されるようになった。とりわけ製造現場では、一層の生産性向上など競争力強化が追求される一方で、熟練者の技能や経験による現場ノウハウの継承、さらには働き方改革など難易度の高い現場課題が多く、それらを同時に解決する手段として大きく期待されている。これまで鉄鋼業は先駆的にコンピュータを導入し、製造プロセス解明や制御アルゴリズム開発に取り組んでおり、当社はこの鉄鋼システムに関わるエンジニアリング業務や技術開発業務を通して、製造現場のデジタル化とシステム開発の実績を築いてきた。本稿では当社DX の取り組みの中で、先進IT 技術の活用と当社独自の技術開発を組み合わせた保全DX について紹介する。


ロボティクス事業部

ロボット遠隔操作技術のご紹介

本稿にて、ご紹介する“ロボット遠隔操作技術”に関する歴史は古く、1948 年アメリカのアルゴンヌ国際研究所で放射性物質を取り扱うために、機械式の“遠隔操作マニュピレータ”が開発されたのが始まりである。このように人が立ち入ることが困難な環境での作業を可能とする遠隔操作技術は様々な分野で用いられており、最初は単純な機構であった遠隔操作ロボットは多種多様なニーズに応える形へ進化している。その実例として“災害対応ロボット”や“分身ロボット”などが挙げられるが、社会全体へ広く実装を進めるには至ってない。ロボティクス事業部は、3K作業を改善したいとの思いの下、種々の案件対応を行ってきたが、広がりは限定的である。そこでロボット遠隔操作をより多くの現場に適用させる事を重点に置き、開発に取り組んできたが、この度、一定の成果を得ることが出来たので、これを整理し紹介するものである。


技術総括部、電計事業本部、機械事業本部、建設事業部

ドローンを活用した業務提供のご案内

以前は写真や動画の空撮映像を得ることが大きな目的であったドローンが、近年土木や建築をはじめ広範囲な分野で、それまでにはなかった多様な利用方法で運用されるようになった。
当社では数年前から全国各支店で散発的にドローンを利用するサービスを開始したが、昨今の飛行規制の強化に対応し、運用の円滑化とリスク回避のために 2021 年 11 月に全社運用ルールを制定し、活用基盤を整えた。これにより全社のどの拠点でもお客様に最適で高品質なサービスが提供できる体制が確保できた。本文後半では電計事業本部、機械事業本部のドローン事業の一部を報告する。その他、建設事業部での高所の壁面メンテナンスソリューション開発への継続的な取り組みを紹介する。


機械事業本部

プラント工事における3Dシミュレーション高度化・負荷軽減の取り組み

業務の品質や効率の向上を目的に 3D技術を活用することがプラント工事業界に広がって久しい。当社においても全国拠点に配備した 3D点群スキャナーや各種 3D設計ソフトを活用し、プラント設計・施工のフロントローディング化を推し進めている。一方、動き要素を加えた場合の検討の難しさや、検討に要する手間と効果のバランスから、適用範囲(規模)が限られ、中小規模案件への適用が難しいといった課題がある。

本稿では上記課題解決に向けた動的な工事シミュレーションへの取り組みと、3D点群データのモデリングを省き、点群のまま活用するモデリングレスシミュレーションについて紹介する。

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